エプソン PC MAG

ITmedia製品レビュー

下記の記事は2019年11月26日に「ITmedia PC USER」(ITmedia)に掲載されたものです。

クリエイティブ向けノートPCの決定版
「Endeavor NJ7000E」の性能に圧倒される

エプソンダイレクトのハイエンドノートPCがフルモデルチェンジした。新モデル「Endeavor NJ7000E」は何が強化され、どのユーザー層に適しているのだろうか。実機をチェックした。

ビデオ編集や3DCGレンダリングなどのクリエイティブワークは、昔からPCの主要用途だ。こういったクリエイティブワークをスムーズに行うのに、ハイスペックなPCが必要というのは今も昔も変わらない。そのため、クリエイティブ向けというと、大型のタワー型マシンを連想する方が多いかもしれない。

ノートPCでも動画編集がスムーズに!

しかし、技術革新によってそういった事情も変わってきている。近年のCPUやGPUの進化は目覚ましく、最新のハイエンドノートPCは、数年前の大柄なハイエンドデスクトップPCを上回る性能を持っており、ノートPCでもかなりレベルの高いクリエイティブワークをこなせるようになっている。

大柄のタワー型デスクトップPCに比べ、ノートPCは格段に省スペースで取り回しもしやすいので、学生などのプロクリエイター予備軍にも導入しやすい。プロのクリエイターにとっても、持ち運べるハイスペックPCがあれば、より効率的に業務が行えるし、仕事の幅を広げることにもつながるだろう。

エプソンダイレクトから登場した「Endeavor NJ7000E」は、そういったクリエイティブ向けの高性能なノートPCを探している人にお勧めの製品だ。単に高性能というだけにとどまらず、クリエイティブ用途を強く意識し、クリエイティブ適性の高い内容となっている。これからその魅力を詳しく見ていこう。

Endeavor NJ7000Eは、第9世代Coreプロセッサ、NVIDIA GeForce RTX 2060のGPU、
sRGB100%カバーの液晶ディスプレイなど、クリエイティブ適性の高いスペックを備えた高性能ノートPCだ。

高性能かつ省スペース、持ち運びも可能

クリエイティブ向けのハイスペックを備えるEndeavor NJ7000Eだが、ボディーは意外にコンパクトな印象だ。具体的な公称サイズは、361(幅)×257.7(奥行き)×30.3(厚さ)mmで、画面の狭額縁化により、同じ画面サイズの先代機であるEndeavor NJ6100Eに比べると約13%小型化しているという。

重量も先代の約2.6kgから約2.2kgへ削減した。移動や設置が無理なくできて、とても扱いやすい。設置に必要なスペースが小さく、使わない時にしまっておく時にもそれほど場所を取らないのはとてもありがたい。

高性能ノートPCというと、巨大なACアダプターというイメージがあるかもしれないが、本製品はACアダプターもスリムだ。重量も約679gと軽い部類で、一緒に持ち運ぶ際も困らない。

具体的な公称サイズは、361(幅)×257.7(奥行き)×30.3(厚さ)mmと比較的コンパクトだ。画面の狭額縁化により、
同じ15.6型の先代機であるEndeavor NJ6100Eと比べると約13%小さくなっているという

ハイスペックノートPCとしては扱いやすいサイズで重量も約2.2kgと軽量。気軽に移動して使うことができる

ACアダプターのサイズは、実測で75(幅)×145(奥行き)×23(厚さ)mmとスリムだ。
実測の重量も約679gと軽く、本体と一緒に持ち運ぶ場合も困らない

テンキー付きの6列キーボードを搭載する。ストロークが深めに確保されており、しっかりとしたクリック感がある。
BTOで英語配列も選べるのがうれしい

タッチパッドには、指紋センサーを内蔵する。外へ持ち運ぶ際に重要となるセキュリティを確保しつつ、
指で触れるだけのスピーディーなログインを両立できる

6コア12スレッドのパワフルなCPUを採用

CPUには第9世代CoreプロセッサーのHシリーズ(TDP 45W)を採用しており、BTOでCore i7-9750HとCore i5-9300Hの2種類から選べる。

上位のCore i7-9750Hは6コア12スレッドで動作する。2~3年前のノートPCでは4コア8スレッドが最高で、6コア12スレッドはデスクトップPC向けCPUの中でも「ウルトラハイエンド」と位置付けられるワークステーションクラスの特別なカテゴリーにしかなく、大きなタワー型ボディーのデスクトップPCでしか使えなかった。

動画編集や写真編集、CGレンダリングではCPUのコアやスレッド数が性能に直結しやすい傾向があるだけに、コア数のアドバンテージは大きい。特に第9世代では、従来よりさらに動作周波数が向上し、シングルスレッド性能、マルチスレッド性能ともに高速化されている。Core i7-9750Hは、実際に当時の6コアデスクトップPCと同等以上の性能を発揮でき、クリエイティブ適性は文句なしだ。

評価機のCPUにはCore i7-9750Hを搭載する。最新のハイパフォーマンスPCで定番的に採用されているCPUだ。
6コア12スレッドで動画編集、写真編集などをパワフルにこなせる

クリエイティブ性能を加速するGeForce RTX 2060を搭載

GPUには、NVIDIAのGeForce RTX 2060を搭載している。新しいTuringアーキテクチャを採用したメインのGPUコア(CUDAコア)に加えて、ディープラーニング演算用のTensorコア、レイトレーシング用のRTコアを統合し、新しいグラフィックス表現が可能になっている。

高性能GPUの搭載は、クリエイティブ面でも大きなメリットがある。写真編集や動画編集を行うクリエイティブツールの多くが、GPUを活用して機能拡張や高速化できるGPUアクセラレーションや、GPUで高速レンダリングを行うGPUレンダリングなどに対応しているからだ。

GPUにはGeForce RTX 2060を搭載。
メインのGPUコアに加えて、レイトレーシング用のRTコア、AI用のTensorコアを統合した最新GPUだ

クリエイティブ活用を支援するNVIDIA Studio

これまでもクリエイティブ分野での実績があるNVIDIAだが、2019年からはさらにクリエイティブへのフォーカスを強めている。

同社は2019年に「NVIDIA Studio」展開し、GPU活用を支援する開発キットを提供するとともに、クリエイティブツールへの最適化と動作検証を行った「NVIDIA Studio Driver」を配布している。

特にQuadro/GeForce RTXシリーズに対しては、RTX専用の開発キットも用意。例えば、レイトレーシングをRTコアでハードウェアレイトレーシングさせることで高速化したり、AI処理を活用した機能を実装させたりと、RTXクリエイティブ活用を促している。

このNVIDIA Studioにより、今後はクリエイティブツールの開発者はこれまで以上にGPU活用機能を実装しやすくなり、ユーザーにとっては、NVIDIA Studio Driverを利用することで、より安定して高速に高性能GPUの恩恵が受けられるようになる。中でもRTXシリーズGPUを搭載したPCでは、そのメリットが大きくなると予想されるだけに、Endeavor NJ7000EがGeForce RTX 2060を搭載していることは、クリエイティブ向けPCとして大きな強みといえる。

ゲーム向けの「NVIDIA Game Ready Driver」とは別に、
クリエイティブツールへの最適化と動作検証を行った「NVIDIA Studio Driver」が用意されている

NVIDIA Studioの特設ページでクリエイティブ用途におけるGPUの効用をアピールしている

大容量メモリと高速大容量ストレージを搭載可能

メモリとストレージは、BTOで柔軟なカスタマイズが可能だ。メモリは最大32GBまで、ストレージはPCI Express 3.0 x4接続の高速SSDを含めて3基まで内蔵でき、最大4TBを搭載できる。PCI Express 3.0 x4対応SSDのRAID1構成も選択可能だ。大容量の動画素材やRAWデータなどを扱うクリエイティブ用途には、こうした柔軟性の高さはありがたい。

外付けのインタフェースも充実している。ディスプレイ出力にも対応するUSB 3.1 Type-Cを含め、USBポートは合計4基を備える。高速規格のUHS-I対応のSDメモリーカードスロット(SDXC対応)、3系統のディスプレイ出力を装備。USB 3.1(10Gbps)対応の外付け高速ストレージを接続したい場合や、オフィスなど落ち着いた環境ではマルチディスプレイ環境で使いたいといったニーズにも応える。

ストレージは最大で3基を搭載できる。評価機ではM.2 PCIe SSDのRAID1構成だった。
CrystalDiskMark 6.0.2では、シーケンシャルリードで毎秒3500MBに迫る極めて優秀なスコアをマークした

前面に端子はなくフラットな仕上がりだ

背面にあるUSB Type-CポートはUSB 3.1の高速転送(10Gbps)、ディスプレイ出力に対応する

左側面には、USB 3.0とUSB 2.0が1基ずつある。
奥側には盗難防止ワイヤーを取り付けるためのセキュリティロックスロットも装備している

右側面。10Gbpsの高速転送に対応したUSB 3.1とMiniDisplayPort、SDメモリーカードスロット(SDXC、UHS-I対応)がある

クリエイティブ用途に適したsRGB100%ディスプレイを搭載

液晶ディスプレイのサイズは15.6型で、画面解像度は1920×1080ピクセルに対応する。上下/左右とも178度の広い視野角、映り込みの少ないノングレア仕様で、屋外や照明がきついオフィスなどでも良好な視認性を誇る。また、コンテンツ制作において重要な色域についても、インターネットコンテンツの標準であるsRGBを100%カバー(NTSC比約72%)しており、sRGBコンテンツの色を正しく表示できる。クリエイティブ用途での絶対要件ともいえる仕様を満たしている。

1920×1080ピクセルに対応する15.6型液晶ディスプレイを搭載する。
上下/左右178度の広視野角、ノングレア仕様で視認性が良好だ。sRGBの色域を100%カバーしている

定番ベンチで性能をチェック

ここからは、ベンチマークテストの結果を掲載する。評価機のスペックは、CPUがCore i7-9750H、メモリが32GB、グラフィックス機能がNVIDIA GeForce RTX 2060(6GB)、ストレージがPCIe RAID1(1TB)、OSがWindows 10 Pro 64bit(1903)という内容だ。

CINEBENCH R20のスコアは、Core i7-9750H搭載機としても上位のスコアで、6コア12スレッドの性能を引き出していることが分かる。PCMark 10のスコアから総合性能、3DMarkのスコアからゲーム性能も優秀であることが確認できる。

CINEBENCH R20のスコア。6コア12スレッドのポテンシャルをきっちり引き出していることが分かる

PCMark 10のスコア。全PCの上位23%に入る高いスコアだ

3DMark/Fire Strikeのスコア。ゲーミングの描画性能も優秀だ

実際のクリエイティブツールでも優位性を実証

クリエイティブツールを利用した、より実践的なテストも行った。

比較対象は、2017年12月に購入した約2.4kgのゲーミングノートPCで、スペックは、Core i7-7700HQ、メモリ16GB、512GB PCI Express SSD、GeForce GTX 1050(2GB)、Windows 10 Home 64bit(1903)という内容だ。

まずは写真整理/RAW現像ツールのLightroom Classic CCの「ディテールの強化」のテストを実施した。これはセンサーのカラーフィルター情報を処理して画像を再構築する「デモザイク処理」にAI処理を活用してディテールを明瞭にする機能だ。高性能GPU、特にNVIDIAのRTXシリーズの利用で大きく高速化する。

今回はソニーのα7R IIIのRAWデータ(4240万画素)10枚を使用したが、結果は圧倒的だ。比較対象のPCが5分近くかかった処理を、Endeavor NJ7000Eでは進ちょくを示すバーがグングンと進み、1分足らずで終了した。

Lightroom Classic CCでは、α7R IIIのRAWデータ100枚のJPEG書き出しテストも行った。こちらはCPU性能の比重が大きい内容だが、こちらも比較対象のPCに対して圧倒的な速さだ。

動画のカラーグレーディング用の定番ツールとなっているBlackmagicDesignのDaVinci Resolve 16.1を使用した。ソニーのα7R IIIでS-log3撮影した5本の4Kビデオクリップ(24fps)に対してカラーグレーディングを行い、それぞれMP4ファイルとして出力する時間を測定したところ、比較対象に対して84%も高速だった。

動画編集ツールとしては、Adobe Premiere Pro CCのプロジェクト書き出し性能(エンコード処理)も測定したが、やはり比較対象に対して70%も高速だった。2年前の購入時点では、かなり高性能な部類に入るノートPCが全く歯が立たず、Endeavor NJ7000Eの高い性能が際立っていた。

放熱性能も優秀で、高い負荷をかけても手がよく触れるパームレストにはほとんど熱が伝わってこない。快適にクリエイティブワークに集中できるだろう。

Lightroom Classic CCの環境設定画面

Lightroom Classic CCに2019年から加わった新機能「ディテールの強化」機能では比較対象のPCを圧倒した

Lightroom Classic CCでRAWデータにプリセットのフィルタを適用し、JPEGへ書き出す時間を比較した

BlackmagicDesignのDaVinci Resolveは、手軽に凝ったカラーグレーディングができるツールとして人気だ

DaVinci Resolveもカラーグレーディング処理やレンダリングなどにGPUを積極的に活用している

S-log3で撮影した5本の4Kビデオクリップ(24fps)に対してDaVinci Resolve 16.1でカラーグレーディングを行い、
それぞれMP4ファイルとして出力する時間を測定した

Adobe Premiere Pro CCでは、5本の4KクリップとBGMで構成したプロジェクトをMP4ファイル(H.264)へ書き出す時間を計測した。

持ち運べるクリエイティブ向けマシンの最有力な選択肢

ベンチマークテストの結果で分かるように、Endeavor NJ7000Eのパフォーマンスは、極めて優秀だ。実際のクリエイティブツールを使ったテストでも実証された。今後クリエイティブツールの高速化に積極的に活用されていくであろうGeForce RTX 2060を搭載しているため、将来性も有望だ。クリエイティブの現場に導入すれば、生産性向上に大きく貢献してくれるだろう。

Endeavor NJ7000Eは、高性能というだけではなく、画面の表示品質も良好で、省スペースであるという付加価値がある。会社だけでなく自宅にも導入しやすいし、持ち運びが可能なので、取引先に持ち込んでイメージのすり合わせをしながらの作業や上司などへの進ちょく報告、イベントなどのデモンストレーション用途などにも重宝するだろう。

手間や時間がかかるPCの設定作業を代行してくれるキッティングBTOサービスを利用すれば、会社での一括導入、動画やイラストの専門学校でも学生が使うPCとしての導入にも困らない。

何よりエプソンダイレクトのPCは、安心の国内生産だ。長期間安定して使えることを念頭に置いてパーツ段階からシビアに品質管理されているため、信頼性は抜群といえる。

Webからの注文は「最短2日」で配達する短納期も、国内生産だからこそできることだ。また、最長6年の「定額保守」メニューや設定を代行するキッティングBTOサービスも用意しており、法人にとっても導入しやすい態勢が整っている。クリエイティブ向けに高性能なノートPCを探しているならば最有力といえる選択肢だろう。

今回の評価機はかなり豪華な構成だが、スペックはBTOで柔軟なカスタマイズが可能だ。同社Webページのシステムでリアルタイムにスペックを選択して価格を確認することができ、そのままオーダーすることもできる。興味があるならばいろいろと試してみるとよいだろう。

関連リンク

  • ※記載されている情報は2019年11月26日時点のものです。予告無しに生産、販売を終了する場合や価格、仕様、その他の情報が変更になる場合があります。また、本サイト上で使用している画像はイメージです。実際のデザイン、外観、色味など異なる場合があります。
  • ※特に記載がない限り、本サイトの表示価格は、消費税抜きの価格(税抜価格)になっております。
  • ※本サイトのディスプレイ内の画像はすべてハメコミ合成です。
  • ※引用した会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。