3D CADとの親和性を、ベンチマークで実感。エプソンが提案する、ハイエンドPCの新たな選択肢

ARやVR技術と連携、拡大する利用シーン
1982年、2D/3Dの汎用CADとして発売されたAutoCADは現在、多様な業種向けの専用CADを展開し、クラウドへの対応を強化するなど業界のスタンダードとして多くのユーザーに愛用されている。そんなAutoCADを中心としたAutodesk社のユーザーコミュニティがAUGljp(Autodesk User Group International)だ。ユーザー相互のコミュニケーションを支援するSNSを運営するとともに、全国各地でセミナーなどを開催。ハードウェアメーカーの製品評価も積極的に行っている。
AUGljpで事務局長を務める榊友幸氏は、近年のCADを取り巻く状況について、「図面を作成するツールとしてではなく、RevitやInventor、Navisworksなど、建築や製造といった個別の業種向け3次元CADソフトウェアと連携したり、座標やGISデータなどの情報を統合したうえで、付加価値を持ったデータに加工する方向にシフトしています」という。
従来、CADをいかにカスタマイズして高速化するかといった議論が多かったユーザーコミュニティでも、現在は3次元CADへのデータ受け渡しや、3Dレーザースキャナーなどで計測した点群データをCADに読み込むためのノウハウなどがテーマとなることが多い。CAD上にデータを統合、加工した上で、VRやARなど新しい技術に活かされる時代といっていいのかもしれない。
ストレスのないCAD環境を実現する、エプソンのハイエンドPC
では、そんな時代のCADにはどのような動作環境が求められるのだろうか。榊氏は、「コミュニティでもワークステーションを候補にする方が多いのですが、作業レベルによってはPCでも可能な時代になっていると考えています」という。確かに、ハイエンドPCであれば、Windowsベースのパーソナルワークステーションとの間にスペック上の大きな違いはない。グラフィックボードの機能が最大限に発揮され、高負荷な作業を続けた場合でも安定した稼働が実現できるのであれば、あえて高価なワークステーションを選ぶ必要はなくなる。
例えば今回、榊氏にベンチマークを依頼したエプソンのEndeavor MR8000は、CPUにインテル® Core™ i7-7700K プロセッサーを採用。本体ケース前面のドアを開けてHDD/SSDの換装ができ、わずらわしい配線も不要なHDDフロントアクセスにも対応している。グラフィックボードは、NVIDIA® GeForce® GTX 1070 8GB、NVIDIA®Quadro® P2000 5GB、NVIDIA® Quadro® P4000 8GBなどの最先端モデルから選択可能だ。3Dレンダリングや点群データを読み込んで加工するといった作業にも、ストレスのないパフォーマンスを発揮する。「Endeavor MR8000なら、グラフィックボードの選び方次第で3Dのエントリーからミドルまでは十分カバーできると思います。高いコストパフォーマンスは魅力ですね」。
基本性能の高さ、柔軟な使い勝手も魅力
「筐体を開いてみて、電源、ファンに驚きました。電源はコスト優先のメーカーには採用されることの少ないブランドの製品ですし、ファンもスリーブタイプではなく、2ボールベアリングタイプでした。安心感のある構成だと思います」と、榊氏はEndeavor MR8000の電源や熱対策についても評価する。エプソンでは、熱対策はもとより、ホコリ対策にも注力している。ファンの配置やホコリの筐体内部への侵入を防ぐフィルターなどを含め、徹底した検証を繰り返して国内生産されるMR8000。今回のベンチマークでも、熱の影響は感じられなかったとのことだ。
「ストレージもM.2 SSDを選べますし、インタフェースもPCI Express 3.0を4スロット、フル帯域使えるので、ストレージへのアクセス速度も十分に得られると思います」と榊氏がいうように、グラフィックボードを外した状態で内蔵のGPUを使用した場合と、NVIDIA®Quadro® P600 2GB、NVIDIA® Quadro® P2000 5GB、NVIDIA® Quadro® P40008GBを装着した状態でベンチマークを実施した今回のテストでも、十分な電源容量と最大限の熱対策、ストレージへのアクセスの最適化など、基本性能の高さで各グラフィックボードのポテンシャルを最大限に引き出している。
「フロントアクセスも、いろいろな使い方が想定できます。万が一のときに、ストレージごと簡単に持ち出せるというのは、最もシンプルなBCP対策でしょう。ディスクを入れ替えてバックアップするといった作業も簡単になります」。Endeavor MR8000は、出荷時に、バックプレートの基盤とSATAのケーブルも接続済み、ブラケット類のネジも付属しているため、ユーザーそれぞれのニーズに合わせたカスタマイズも容易だ。「例えば、公共工事の住民説明会などで、短期間だけVRに対応したシステムが必要になるといった場合であれば、ふだんは設計や三次元データの受け渡し、測量データ管理などに利用しつつ、必要なときだけVR用途にセットアップしたHDDに換装するといったことも可能ですから、重要なデータは外部に見られないようにセキュアに保管できます。PCを2台用意する必要もありません」。
国内ブランドならではの安心感と、柔軟なカスタマイズ性を両立
榊氏は、「ベンチマークの結果をみると、AutoCADを使うだけであれば最小構成でP600を、3D CADも必要であればP2000を、点群データを扱ったり、SfM(Structure from Motion)画像を合成して、オルソ画像に変換するといった作業まで行うのであればP4000を使う。そんな使い方が想定できます」という。Mayaや3ds Maxなどの3DCGソフトやVRの開発などを行う場合には、NVIDIA® GeForce® GTX 1070 8GBを選択できることで、さらに選択肢は広がる。また、エプソンでは新たにNVIDIA® GeForce® GTX1080Tiの取り扱いも開始された。
「今回のテストで気付いたのですが、エプソンは、グラフィックボードのドライバーの公開が早いですね。グラフィックボードベンダーによる新ドライバーのリリースから、あまり遅れることなく、日本語環境で検証したバージョンを公開してもらえるのはありがたい。日本語のマニュアルも用意されているので、自分で増設した場合でも安心感があります」と榊氏。エプソンが動作検証を行った対応グラフィックボードから、業務ニーズに合わせたものを選べるのもMR8000ならではだ。
個人事務所を構えて建築設計を行うといった業務スタイルの場合、システムの専門家を身近に用意することは難しい。エプソンによる周辺機器の動作検証やサポート、万が一PCが故障した場合も修理センター到着から1日で修理が完了し、返送される迅速な保守対応は心強いはずだ。もちろん、同一構成のマシンを一括購入することの多い企業ユーザーにとっても、十分な在庫と迅速な納入は大きなメリットになる。
扱うデータが大容量になり、例えばファイル保存やデータの読み込みなど、何もせずに待つ時間が気になるなら最新マシンへの買い替えも検討すべきだと、コミュニティのメンバーにアドバイスしているという榊氏。新しい技術との連携で、より大量かつ複雑なデータを扱うようになったCADの世界で、エプソンのハイエンドPCはコミュニティのメンバーはもとより、多くのプロフェッショナルユーザーにとって、魅力的な選択肢になるはずだ。

事務局長
榊 友幸氏

※導入時の構成は販売当時のものです。記載内容が変更になっている場合や、PC本体、オプション、サポート等についても販売終了しているものもありますので、あらかじめご了承ください。
※引用した会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。
2018年3月掲載